ボードゲーム、グランクリュレビュー

グラン・クリュ

 

 

・難易度:3
・評価:A
・プレイ人数:2〜5
・日本語版無
・カード無し
・サマリーはこちらから
・改良チップ、ワイン祭アクション一覧

 

概要

ワイン畑を経営し、葡萄を作ってワインを作って、借金を返そうというゲームです。
ゲームの目的は、いい葡萄畑を作ることでもいいワインを作ることでもありません。
借金を返した上で一番の金持ちになることです。

 

そう、このゲームの面白いところは、ゲーム開始時にまず借金する、ということです。
経営をするための資金を銀行から借りることから始まるという、なんとも現実的なゲームなんですねー
他のゲームでは中々見ないルールです。
しかも最初の借金額はプレイヤーの意志で決められるので、この借金からすでに戦いは始まっているという。

 

ゲームの流れですが、1年1サイクルで、1年で最低4回、その年の終了条件に達しなければ達するまでアクションを順に行っていきます。
年の終了条件は各プレイヤーが操作できるので、いつ終わらすかが非常に重要です。
そして、できること、やるべき選択肢は非常に多く、4回のアクションではとてもじゃないけどやりたい事はやりきれない。
その駆け引きが、熱く展開されるわけです。
具体的にできるアクションは、

 

1:ブドウチップ(ブドウを生産する畑)や改良チップ(特殊効果を持ったチップ)を競りにかける。
2:1で競りに出ているチップの値を上げる。
3:自分が値を最後に付けたチップが残っていれば、お金を支払ってそれを獲得する。
4:チップを7フラン(結構な大金)支払って直接購入する。
5:全プレイヤー共通の、ワインの銘柄の売却価格を上げる。
6:畑のブドウを収穫する。4回のアクション以降、畑のブドウ全収穫した人が出たらその年が終わる
7:ワインを売却する。
8:改良チップを使う。改良チップには、他のアクションと組み合わせるものと、このアクションで独立して使う物がある。
9:パスして年度の行動を終了する。全員のパスでその年が終わる

 

と、こんな感じです。やる事、多すぎです。
6と9のアクションで年が終わる可能性があり、自分を有利に進め、相手の行動を阻害できるかが重要となるわけですね。

 

年が終わると年末フェイズになり、次の年の準備やワイン祭という特殊なアクションフェイズがあって、借金を返したり逆に借金して、次の年……と繰り返していきます。

 

このゲームは1アクションの価値が非常に大きく、一手ミスすると結構な痛手になります。
まあ、どのゲームも一手は重要ですが……
そのため、相手の妨害もできるけど、それが本当に自分の利益を上回っているのか、とか、自分の利益だけ追求して、相手の利益を上回れるのか、とか考えなければならず、駆け引きが熱くなっていくわけです。

 

ただ、改良チップの見た目が非常によろしくないです。
どのチップか判別しにくにのです。
プレイしていて全員が「豊作」というチップだと思ってたら、実は「収穫手伝い」だったとゲームの後半に判明したこともありました……

こんな感じです。せめて、全体の色味を変えるなどしてほしいです。

 

他のコンポーネントは、いい雰囲気を持っています。
例えばお金。
 
ブドウ、そしてワインのイメージの紙幣になっています。いい感じです。

 

マーカーもワイン瓶のイメージでいい感じです。

左がスタートプレイヤーのマーカーで、右は年内のラウンドを示すマーカーです。

 

さて、評価はもちろん面白くてAなのですが、ただ改良チップの中で2種ほど、バランスブレイカーが存在していまして……
それに気付いてしまい、ある種勝ち確定とも言える条件を満たしてしまうと、それに追いつくのが無理という展開が起こってしまいます。
というか、仲間内でのプレイで1人がそれをやって、他のメンバーがどうにかして崩そうとしましたが、できませんでした。
んむー、以下に状況書いておくので、どなたかこれを崩す手段があれば教えてくださいませ……
ちなみに、3人プレイ時です。

 

で、その2種の改良チップとは、「収穫手伝い」と「豊作」です。

 

「収穫手伝い」:収穫アクションを1回の金額で2回行う。
「豊作」:ブドウの収穫時、追加で1つワインにできる。

 

前述の通り、1アクションの価値が非常に大きいこのゲームで、これらのチップはそのアクションを2回分行えてしまいます。
特に「豊作」が問題です。

 

具体的にどういう勝ち確定の状況が生まれてしまうかというと、「収穫手伝い」か「豊作」がゲーム開始時に出ている時、スタートプレイヤーがそれを7フランで1発購入します。
それとブドウ畑を「豊作」なら1つ、「収穫手伝い」なら2つ購入したら準備完了です。

 

あとは他プレイヤーがチップを競りに出したら値段だけつり上げ、自分は悠々と収穫してワインを売れるなら売って年を終わらせてしまえば、他のプレイヤーはほぼ何もできずに年が終わってしまう……
競りって、値段つり上げて競り落とさなくても、ペナルティがありません…… これも問題。
初期の7フランは大金ですが、この方法ならゲームが終わる頃にはおつりがくる状態になってしまいます。

 

というわけで、これを回避するために、ゲーム開始時に「収穫手伝い」か「豊作」があれば、それは入れ替える、競りに掛けて競り落とせなかったらその金額の半額(切り上げ)をペナルティとして支払う、といった独自ルールを付け加えています。

 

というようなちょっとバランスの悪い部分はあれど、それでも面白いゲームであることに間違いはありません!
色々と、人生の勉強にもなるのです。経営のためにまず借金とか、それを返す道を考えるとか……

 

仲間プレイヤーが、とある御方をまねて初期の借金を最大でプレイしました。
そしてその後も借金を繰り返し、大金を手にパワープレイをしていました。
しかし、利子返済で首が回らなくなり、こう言ったのです。

 

「○イジ先生みたいにでかい借金をして勝てるかと思ったけど、それで勝てるのはカ○ジ先生だからだったよ……」

 

いやあ、名言です。僕はカイ○をあまり知らないんですけどね……